キリンのチューハイといえばこれ、そういわれるお酒を開発

キリンビール株式会社 RTDカテゴリー戦略担当
田中 寛人(たなか ひろと) さん

 2008 年4月キリンビール株式会社入社。北陸工場、福岡支社、九州流通支社、広域流通支社勤務を経て、2020年4月より現職(マーケティング部RTDカテゴリー戦略担当)。普段、愛飲しているのは主に「一番搾り」と「発酵レモンサワー 濃いレモン」。仕事から帰って家での晩酌が毎日の楽しみの一つ。

キリンの発酵技術が実現したおいしさです。

 ここ数年ブームのレモンサワー。中でも異彩を放つのが、キリンの「発酵レモン果汁」を使ったレモンサワーです。「せっかくお酒を飲むなら素材の良さが感じられるものをおいしく飲みたい」という声に応えるべく、キリンならではの発酵技術を生かして開発された「発酵レモンサワー」。その経緯、ご苦労を同社マーケティング部の田中寛人さんに伺いました。

豊かなおいしさに大反響

――2021年3月に「麒麟発酵レモンサワー」を、10月に「濃いレモン」を発売されました。反響はいかがでしたか?

 「発酵技術をチューハイで使うのは初めての試みでしたが、発酵することで深い味わいやまろやかさ、華やかさや香りなどの新たな香気成分が55種類増加し、香料・酸味料・甘味料無添加で豊かなおいしさを実現しました。お客様には発酵からくる健やかなイメージ、味をより豊かにしてくれる期待感、それらがかけ合わさって大きなご支持をいただくことになりました。先行の『発酵レモンサワー』はアルコール度数7%、『濃いレモン』は5%です。弊社の調査によると、7%は飲みごたえを楽しみたい、5%は果汁感を楽しみたいユーザーが多いことがわかりました。そこで、『発酵レモンサワー』ならではのレモンの豊かなおいしさをより多くのお客様に楽しんでいただきたいと考え、『濃いレモン』を作りました。飲んでいただければすぐわかると思いますが、発酵によって丸みを帯びた豊かなレモン感、飲みやすく飲み飽きない仕上がりになっています」

キリンの発酵技術を反映

――そもそも発酵レモンサワーを開発されたきっかけ、経緯は?

 「創業100年以上の弊社で核となるのが、ビール事業で培ってきた発酵技術です。しかし、チューハイではこの技術を使えておらず、使ってみたらどうかと開発をスタートさせたのです。ポイントは『健やかさもあって、とにかくおいしいチューハイを作ろう』ということでした。これは、世の中に健康領域でも貢献しようとしているキリンらしいお酒の作り方です。とはいうものの、健やかな気分で飲んでいただけるお酒の開発は非常に難しかったのも事実です。商品の構想段階から上市までは約5年かかりました。弊社が独自開発した発酵レモン果汁は、いわゆるビールの発酵で使うような酵母を使ってレモン果汁を発酵させるのですが、完成までの道のりは簡単なものではありませんでした。初めてのトライということでビールチームの社員を招聘したり、グループ会社・メルシャンの監修を受けたり、キリングループの総力で商品化を実現することができました」

発酵ならではの難しさ

――満足するおいしい味にたどり着くまでのご苦労は?

 「〝発酵.という生の営みをいかに制御し、引き出すかということに難しさを感じました。カクテルのように開発する従来のレモンチューハイと異なり、出来上がりの味を事前に予測したり、細かな味の調整ができたりしないという点に特に苦労しました。こんな発酵レモンだとおいしそうだなあと想像しても、なかなか微生物は言うことを聞いてくれません。レモン味がちょっと発酵しておいしくなる、ただこれだけのことなのに、最適な製法にたどり着くまでの苦労が、従来のチューハイの開発よりも大きいように感じました。ただ、良かった点もあります。キリンビールは過去に果汁を発酵させた商品を発売しており、多少なりともよりどころとなる経験値があったことが開発を大きく後押ししてくれました。さまざまな苦労があったものの、会社がその歴史の中で積み上げてきた知恵やおいしさの高みを目指す探求心が、開発する上で非常に重要であったと感じます」

食中にぜひおすすめ

――食事に合うというところも大きいのでしょうか?

 「本品は香料・酸味料・甘味料無添加ですので、食事中を中心にあらゆるシーンで気兼ねなく楽しんでいただけます。自然な味わいのレモンサワーなのでどんな料理とも相性がよく、飲み飽きません。ビールを本品に置き換える方も多いですね」

――貴社にはさまざまなレモンサワーがありますが、飲み分け方は?

 「例えば『氷結(R)』は、みずみずしい果汁感をとにかく楽しみたいという方におすすめです。『麒麟特製サワー』はアルコール度数9%なので、しっかり飲みごたえを楽しみたい、品質感があるものを選びたいという方に人気です。『発酵レモンサワー』は、おいしさと健やかさを兼ね備えたお酒として明確なご支持をいただいています」

――今後の開発のご予定は?

 「まだ詳しくは話せませんが、発酵技術を使ってレモンサワー以外でもお酒の可能性を広げたいと模索しています。もちろん、今販売している商品もよりよいものにしていきます」

麒麟 発酵レモンサワー濃いレモン

  • アルコール度数 5%
  • 350ml・缶、500ml・缶
  • オープン価格
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