笠井アナの「僕のえいがの百三十科」#156

 男はつらいよ お帰り 寅さん   テッド・バンディ  さよならテレビ

 

今回紹介した寅さんの新作…1年前に撮影現場にお邪魔してるんです。その時、「『くるまや』の前の道をちょっと歩いてもらえます」と頼まれエキストラとして出演!!そして完成品を観たら…全カット!(笑)。私はどこにもいませんでした。

  男はつらいよ お帰り 寅さん

大人になっても悩みが多い「今」の私たち。寅さんの言葉や存在が背中を押してくれます。

 も~感動した。かなり早い段階から涙がにじんだ。寅さんを思って?もちろん、渥美清さんへの想いはあるが、いまを生きる俳優たちの芝居を観ていると、このシーリーズの50年の重みといったところに、心が震えてしまうのだ。制作50年で、50作目。あまりにも語呂がいいので、「昔のフィルムを集めて、現代パートも新撮して創りました」という総集編・名場面集かと思っていたらさすが山田洋次監督!これは明らかに最新作。今の倍賞千恵子さんや、前田吟さんの顔から、そのまま第1作の超若い二人にカットが変わる。いいところで寅さん鉄板の爆笑シーンが差し込まれる。以前洋画で「6歳の僕が大人になるまで」という撮影に12年かけたが作品が話題になったか、これは、50年かけて一本の映画を創りあげた類まれなる貴重な作品なのだ。


2019年製作 配給:松竹
監督:山田洋次
キャスト:渥美清、倍賞千恵子、吉岡秀隆、後藤久美子、前田吟  他

  テッド・バンディ

シリアルキラーの語源となった男。極めて邪悪、衝撃的に凶悪で卑劣。

 1970年代に起きた猟奇連続殺人事件⇒法廷の「異色の実話モノ」として楽しめた。アメリカと言う国は「おおらか」なのか「バカ」なのか。たとえ重大事件でもすべてがショー化され、エンタメのように消化されていくのだ。

 テッド・バンディという名前は米国の中高年なら誰でも知ってるという。なぜハリウッドでも特に毒のないイケメンのザック・エフロンが演じるのか?キャスティングミスかと思いきや、これがハマった。実際のテッドもハンサムで頭が良くて、しかも30もの殺人の容疑がかけられ、法廷はTV中継の先駆に。傍聴席は女性ファンで埋め尽くされた(ジョーユー?)。そして世紀の判決は!

 ウィキペディアを調べずに、これくらいの予備知識で見ることをお勧めする。


2019年製作 配給:ファントム・フィルム
監督:ジョー・バーリンジャー
キャスト:ザック・エフロン、リリー・コリンズ、カヤ・スコデラーリオ、ジェフリー・ドノバン 他

  さよならテレビ

大薄っぺらいメディアリテラシーは、もうたくさん。テレビの今を活写する。

  面白い!いや、面白すぎて危うい。このドキュメンタリーをみて、テレビマンとしての感想は「ここまでするか?」という戸惑いだ。東海地区だけでのローカル放送だったので、各地のテレビマンが番組をDVDにコピーして回し観してきた曰く付きの作品が40分長くなり映画になった。

 東海テレビのドキュメント班が、自社の報道局に1年7か月密着取材を強行し、「自分に自信の持てないメインキャスター」「誰がみても記者に向いていないアイドルオタクの新人記者」など、報道に関わる人間の”弱さ”をあぶりだしてゆく。それは、「うちの報道局ってこんなに脆弱」と仲間を売っているようにも見えた。

 しかし、この作品の真の狙いはラスト。まるでマジックのネタバラシ動画のような強烈なラストを、あなたは、どうみるだろう?


2019年製作 配給:東海テレビ放送
監督:土方宏史

笠井信輔

フリーアナウンサー

1987年フジテレビアナウンス部入社後2019年10月よりフリーになる。
趣味の映画鑑賞は新作映画を年間130本以上スクリーンで観るほど。
舞台鑑賞は特にミュージカル、とりわけ宝塚歌劇団好き。

オフィシャル・ブログ
笠井TIMES『人生プラマイゼロがちょうどいい』

オフィシャル・インスタグラム
shinsuke.kasai