笠井アナの「僕のえいがの百三十科」#183

 SING/シング:ネクストステージ   ウェディング・ハイ  ナイトメア・アリー

 

米国アカデミー賞発表前に書いてます。作品賞&監督賞:「パワー・オブ・ザ・ドッグ」。主演男優賞:ウィル・スミス。主演女優賞:ニコール・キッドマン。国際長編映画賞は、もちろん濱口竜介監督「ドライブ・マイ・カー」! いくつ当たるかな?

  SING/シング:ネクストステージ

映画館で極上ライブ体験。
いよいよ開幕!これは、大画面の映画館で見るべし!

 異色の音楽アニメは2作目にして楽しさの鉄板だ。あの動物たちが、今度は憧れの劇場でのショー上演を目指し、悪評名高いプロデューサーの命令にしたがって、引退同様の超大物歌手(ライオン!)をステージに呼び戻すことができるのか?

  おなじみのアニマルキャラクターたちが全力で歌い踊るワクワクするようなストーリー展開で大人から子供まで文句なく楽しめる。前作ほど超ヒット曲を使用していないのは作品の自信の表れとみた。お約束のオーデションシーンは今回も笑いが絶えなかったし、クライマックスのショーはそんなの無理(笑)というアニメならではの演出。悪徳プロデューサーはじめ新キャラたちも魅力いっぱいで「動物歌劇団」の活躍をまだまだ見たい! これはもう「シング3」を作ってもらうしかない! そして、やっぱり日本語吹き替え版で楽しみたいね。


Ⓒ 2021 Universal Studios. All Rights Reserved.
3月18日(金)より全国公開

監督脚本:ガース・ジェニングス

日本版キャスト:
内村光良、MISIA、長澤まさみ、大橋卓弥(スキマスイッチ)、
斎藤司(トレンディエンジェル)、大地真央、坂本真綾、田中真弓

キャスト:
マシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン、スカーレット・ヨハンソン、タロン・エガートン、トリー・ケリー、ニック・クロールほか

  ウェディング・ハイ

結婚式で巻き起こる大騒動!最高の結婚式を贈ることが出来るの?

 

 おもしろーい! 結婚披露宴で巻き起こるトラブル回避のために、ウェディングプランナーの中越真帆(篠原涼子)が奮闘する姿を描く。  私は結婚披露宴の司会を200回以上やっているので、正直言ってプロの視点からこの作品を見てしまう。コメディー映画の中で描かれる結婚披露宴は、ほぼドタバタになっていくのが定番。しかし、脚本家としてノッているバカリズムと「勝手にふるえてろ」「私をくいとめて」などの評価が高い大九明子監督が組むと、笑わせ方も普通じゃない。結婚披露宴でスピーチに立つ人間の心模様をここまで面白くするのかと言う中身の濃い前半から、それが引き金となって巻き起こるトラブルにウェディングプランナーが「そんな対処法あり?」という手段で鮮やかに対応していく。 

 相当練られた脚本でまき散らかした伏線を最後の最後に完全に回収していくという鮮やかさ。恐れ入りました。


Ⓒ2022「ウェディング・ハイ」製作委員会
3月12日(土)<大安吉日>全国ロードショー

監督:大九明子
脚本:バカリズム

キャスト:
篠原涼子、中村倫也、関水渚、岩田剛典、向井理、高橋克実

  ナイトメア・アリー

ショービジネス界の華やかな光と甘美な闇
サスペンス・スリラー大作

  

 人間ドラマ、ダークファンタジー、クライムミステリー、そしてラブストーリー。さまざまな要素を持ち観客を力強く巻き込む作品だ。アカデミー賞作品賞はじめ4部門ノミネートというのは納得。  見世物小屋に流れ着いた男(ブラッドリー・クーパー)が、読心術を身に付けることによってのし上がっていくが、人の心の奥底に触れて金を巻き上げていくうちに、自らもその闇に絡めとられてしまう。トリックを使って霊的な世界に入り込んでしまう中盤から目が離せなくなるのだ。カルト宗教や霊感商法の源流を感じる危うさを描き出して、それがまた大いなる魅力となっている。

 アカデミー賞監督のギレルモ・デル・トロは、在りし日のヨーロッパで撮影したのかのような懐かしい風景の中で、独特の世界観を作り上げることに成功している。とにかくオチにやられた。


Ⓒ2021 20th Century Studios. All rights reserved.
3月25日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

監督:ギレルモ・デル・トロ
原作:ギレルモ・デル・トロ、キム・モーガン

キャスト:
ブラッドリー・クーパー、ケイト・ブランシェット、トニ・コレット、
ウィレム・デフォー、リチャード・ジェンキンス、ルーニー・マーラ、
ロン・パールマン、メアリー・スティーンバージェン、デヴィッド・ストラザーン

笠井信輔

フリーアナウンサー

1987年フジテレビアナウンス部入社後2019年10月よりフリーになる。
趣味の映画鑑賞は新作映画を年間130本以上スクリーンで観るほど。
舞台鑑賞は特にミュージカル、とりわけ宝塚歌劇団好き。

オフィシャル・ブログ
笠井TIMES『人生プラマイゼロがちょうどいい』

オフィシャル・インスタグラム
shinsuke.kasai