笠井信輔の「映画がいっぱい」

 オッペンハイマー   デューン 砂の惑星PART2  流転の地球 -太陽系脱出計画-

 

シネコンの「ラージフォーマット」が熱い。IMAXや4DX、MX4D、ScreenXなど、通常の上映方式を巨大画面にしたり、椅子を動かしたり、3画面にするアトラクション上映方式のこと。今回の3本はぜひ、それで楽しんで!!

  オッペンハイマー

この男が、世界を変えてしまった
世界の運命を握った天才科学者の実話に基づく物語

 IMAXで見るべき、すごい映画を観てしまった。天才物理学者オッペンハイマー。彼はどのようにして原爆を作り上げ、長崎と広島に投下されたことをどう受け止めたのか? 一時、「公開は見送りか?」とマスコミで話題になった作品でもある。が! 彼の“偉業”をたたえる作品ではなかった。明確な反戦映画であり、今の時代に上映されることに意味がある。確かに米国民や科学者たちが原爆投下の成功を喜んでいる姿は複雑である。

 しかし、オッペンハイマーの微妙な立場を探求し、原爆の科学理論を立証すれば大量破壊兵器開発という道筋に懸念を持ちながら、愛国心との板挟みになる繊細な心理描写が見事なのだ。音響と編集も素晴らしく圧倒された。アカデミー賞13部門ノミネートは当然。作品賞とノーラン監督の監督賞同時受賞もあるのではないか。日本人必見。


Ⓒ Universal Pictures. All Rights Reserved.
 3月29日(金)全国ロードショー

  デューン 砂の惑星PART2

驚異のスケールで放つSFアクション超大作
惑星デューンをめぐる宇宙戦争が勃発!

  もうこういうの大好き! 鉄板のSFディザスター、ブロックバッスター大作。太陽の破綻によって地球が滅んでしまう未来。人類が生き延びるために、地球を太陽系の外に移動させるという言う巨大プロジェクトの一部始終を3時間、全く緩みなく大迫力で描く大変なエンタテイメント。

 奇想天外すぎて笑っちゃうかもしれないが、往年の特撮ファンならすぐ気づくはず。伝説の東宝傑作特撮映画、「妖星ゴラス」だ!と。ところが、地球の移動で月との衝突危機が!! ここからは「アルマゲドン」だ!(笑)。そこにタイムリミットの宇宙戦艦ヤマトを振りかけて(笑)、ハードSFの骨格は、まるで金字塔の「2001年宇宙の旅」とてんこ盛り!「トランスフォーマー」「アルマドン」などマイケル・ベイ監督が好きな人、全員集合! IMAX、4 DXやMXMDで見よう! 無条件に楽しめるからね。イエイ!


Ⓒ2024 Legendary and Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
3月15日(金)全国公開

  流転の地球 -太陽系脱出計画-

太陽系消滅を目前に生き残るため人類が行った決断とは?
メガヒット中国SF超大作がここに誕生!

 観てよかった。そして一人でも多くに観てほしい作品。
 こうした作品は、ダウン症の主人公の頑張りと、その周囲の愛を描く作品が多いが、これはダウン症の弟を持つ「兄の物語」。イケメンの主人公は、高校に入学すると弟の存在が恥ずかしくなり、新しい友だちに「弟はいない」と嘘をついてしまう。そこから始まるウソの連鎖。
 これが思わぬ事態を巻き起こしてしまう。こうした兄弟側の葛藤、苦悩、現実逃避を中心に据えているところがミソ。出生前診断によってダウン症の子供なら生まないという親は少なからずいて、兄の行為を簡単に責められないのが現実なのだ。しかし、映画は深刻にならない、それは本当のダウン症で弟役を演じているロレンツォ・シスト君の屈託のない姿と、純朴な行動に観客が心動かされるからに他ならない。答えはおのずと見えてくるのである。


Ⓒ2023 G!FILM STUDIO [BEIJING] CO., LTD AND CHINA FILM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
3月22日(金)全国ロードショー



笠井信輔

フリーアナウンサー

1987年フジテレビアナウンス部入社後2019年10月よりフリーになる。
趣味の映画鑑賞は新作映画を年間130本以上スクリーンで観るほど。
舞台鑑賞は特にミュージカル、とりわけ宝塚歌劇団好き。

オフィシャル・ブログ
笠井TIMES『人生プラマイゼロがちょうどいい』

オフィシャル・インスタグラム
shinsuke.kasai