【東洋医学の知恵をくらしに】口臭が気になるときのセルフケア

 口臭は歯周病や鼻炎、内臓の不調などさまざまな理由で発生します。特に夏は暑さによる自律神経の乱れや、汗で体の水分量が減ることによる唾液量の減少などで、口中菌の働きが活発化。口臭や歯周病が悪化しやすくなるので、こまめな水分補給やストレス緩和が大切です。今回はもう一つの原因、胃炎や消化不良など胃腸の病による口臭をケアするツボ押しを逸見愛先生に解説していただきました。

「内庭(ないてい)」(足のツボ/左右に各1穴)を押す

①足の人さし指と中指の間のシワの先端に位置する内庭は、胃に対応する経絡のツボ。胃の炎症を鎮める働きに優れ、口臭、歯痛、歯茎の腫れなどのケアに効果的です。

②左足のツボに左手の親指をあて、ゆっくり圧を加えて痛気持ちよい強さで7秒キープ、ゆっくり圧を抜きます。右手で足裏を挟むように支えると押しやすくなります。3~5回繰り返し、右足も同様に。押しまわすようにマッサージしてもOK。

③お灸もおすすめです。

「下 脘」(おなかのツボ/1穴)を押す

①下脘は消化不良を緩和して口臭をケアするほか、胃の痛み、膨満感、腹鳴、下痢などにも効果的なツボ。胸骨体下端(胸の中央、硬い骨の先端)とへそを結んだ線の下1/4にあります。

②指先をあて、ゆっくり左右にさするように30 秒ほどマッサージ。おなかが動いたり、ゲップが出てスッキリしたら効いているサインです。胃腸の動きを感じながら2~3回繰り返します。

③天枢(てんすう)(くらしの百科23年2月号掲載)を併せてケアすると、より効果的。

【ポイント】

 胃炎タイプの口臭のケアは内庭と合わせて曲池(22年2月号掲載)、合谷(21年11月号掲載)、足三里(21年12月号掲載)を。ストレスが強い方は太衝(22年3月号掲載)のケアを加えるとより効果的。

【健康メモ】

 口や唇は胃腸の健康状態を自分の目で確認できる場所。中医学では「脾ひ(胃腸)は口や唇と深い関係があり、脾の機能が低下すると口の中が乾く・粘る、よだれが増える、味覚が変化する、口内炎ができる、口角が切れる、唇の皮がむける、口の周りに吹き出物ができる、唇の色が変化するなどの不調が現れる」と考えています。

 脾はホルモンバランスの変化や疲労、ストレスなどの影響を受けやすいので、口臭のケアには適切な対処に加えしっかり心と体を休めることが大切。よく笑う、よくかむ、よく寝ることがお口の健康を守る良薬です。

逸見 愛

へんみ・あい

鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師。中野区で主宰する女性限定鍼灸サロンで、「体の内側から健康に美しく」をモットーに美容鍼灸を提供。自宅でできるツボ押しやお灸など、セルフケアの普及に努めている。


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