【東洋医学の知恵をくらしに】坐骨神経痛のセルフケア

 坐骨神経痛とは、腰から足先まで伸びている坐骨神経が圧迫・刺激され、引き起こされる痛みやしびれのこと。症状が出る場所は腰、太ももの裏、すねなどさまざまで、重症化すると生活に支障をきたすこともあります。原因に多い腰椎椎間板ヘルニアなど腰の病気は、日頃から腰回りをいたわることで予防が可能です。今回は、腰や下半身の治癒力を高めるツボを逸見愛先生に教えていただきました。

「腰陽関(こしようかん)」(腰のツボ/1穴)を押す

 腰陽関は丹たん田でん(生命活動に必要なエネルギーを供給するツボ)に通じる足腰の健康に重要なツボ。坐骨神経痛のほか下半身の冷えにも効果的です。①骨盤の左右の頂点を結んだ線と背骨が交わる位置、背骨と背骨の間の凹みが腰陽関です。骨盤に手を置き、親指を骨盤の高さから背骨へ水平移動させるとよいでしょう。②人さし指と中指で心地よい強さで10 秒ほど押し回します。3~5回繰り返しましょう。③冷え対策としてカイロで温めても◎

「殷いん門もん」(足のツボ/左右に各1穴)を押す

 坐骨神経の通り道にある殷門は、坐骨神経痛のほか腰や背中のこわばりにも効果的なツボ。①太もも裏の左右中央、お尻の下のシワと膝裏のシワを結んだ線の真ん中よりやや上、押すとズーンと響くところが殷門です。②両手の中指をあて、ゆっくり圧を加えて7秒キープ、ゆっくり圧を抜きます。3~5回繰り返し、反対の足も同様に。強く押しすぎると余計に痛めてしまうことがあるので、軽い力で押しましょう。③テニスボールで押してもOK。

【ポイント】

 症状が治まっても、再発予防のためにツボ押しの継続を。痛みが長引くと、姿勢不良や睡眠の質を低下させるなど、新たな痛みや病気を作る原因となってしまいます。早めに専門医にご相談ください。

【健康メモ】

 坐骨神経痛の予防や症状悪化を防ぐには、腰に負担がかかる姿勢(中腰、長時間の同じ姿勢など)を避け、ストレッチや軽い運動を習慣にして、腰回りをいたわる生活を送りましょう。うつ伏せの状態で腕とつま先で体全体を支えるトレーニング「プランク」は体幹を安定させ、筋肉の天然コルセットを強化するのでおすすめです。

 疲労感や痛みを自覚させることで、体は病を防ぐよう知らせてくれます。腰痛や脚のだるさ、ふくらはぎがつるなど小さな不調に気づいたら、早めに体をいたわる習慣をつけましょう。

逸見 愛

へんみ・あい

鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師。中野区で主宰する女性限定鍼灸サロンで、「体の内側から健康に美しく」をモットーに美容鍼灸を提供。自宅でできるツボ押しやお灸など、セルフケアの普及に努めている。


《問い合わせ》 鍼灸サロン アンヴレ
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