寒く乾いた季節に知っておくべき冬の上手な洗濯法
新しい洗剤や柔軟剤が次々に発売され、洗濯機の機能も大きく進化しています。それでも洗濯に関する悩みはなかなか尽きません。汚れが落ちない、臭いが気になる、型崩れした…。冬場は気温の低さ・空気の乾燥に応じた洗濯法が必要です。コツを押さえて洗濯上手になりましょう。
協力/NSファーファ・ジャパン株式会社 研究開発本部 石井孝一マネージャー
1.まず「洗濯表示」記号を確認
脱いだ衣服を洗濯機に放り込む前に、タグの洗濯表示を確認していますか? 「家庭での洗濯禁止(=水洗い不可)」と表示された衣類を洗濯機で強く洗ってしまうと、縮んだり、色落ちしたり、型崩れしてしまう可能性があります。ものによっては工夫次第で家でも洗えるという情報もありますから、気になる方はお調べいただくとして、基本的には洗濯表示に従いましょう。
4年前、国際規格に合わせた記号が制定されたため、お手元の衣類には新旧の記号が混在しているかもしれません。現在の記号は全41種類。「家庭洗濯を表す記号」「漂白を表す記号」「乾燥を表す記号」「アイロンを表す記号」「クリーニングを表す記号」の5つを基本に、洗濯の適切な強さ・温度などがわかるよう表示されています。詳細は消費者庁のHPなどでご確認ください。
(A) は2016年11月までの製造品に、(B)は同年12月以降の製造品についている記号です。
2.冬の大敵は「粘度の高い皮脂」
衣服は空気中のホコリやPM2・5(大気汚染物質)、泥、食べこぼしなどで外側から汚れるほか、体から出る汗や皮脂、垢などで内側からも汚れます。外からの汚れは住んでいる地域や生活環境、季節などによって異なります。また意外と知られていないのが、体から出る汚れも夏と冬とでは異なるという点です。
「夏は汗をかくから汚れやすいけれど、冬はあまり汚れないのでは?」と思われるかもしれませんが、冬は汗の量が少ない代わりに、皮脂の分泌量は(個人差はありますが)夏よりも多い傾向があるといわれています。しかも厄介なのは、トリグリセライドという中性脂肪が夏場の約3倍にまで増加(下図表参照)するため、冬の皮脂は粘り気が強いこと。分泌の多い場所は首まわり、脇、胸、背骨の周辺、下腹などで、直接または下着を通して衣服に染み込み、ホコリなどを巻き込んで黒ずんだ汚れとなります。関東地方の冬は空気が乾燥して静電気が発生しやすく、よりホコリを付着しやすい環境にあることも影響しているといえます。
「どんな汚れでも洗濯機洗いで落ちるから大丈夫」と思っていても、目に見えない汚れが残り蓄積してしまうこともあります。そうなってから漂白剤できれいにしようとしても、トリグリセライドの汚れにはあまり効果がありません。そうなる前に、特に皮脂分泌の盛んな年齢の方の衣服は、洗濯機洗いの前に気になる部分の予洗いをおすすめします。
また冬場は気温が低いので、30.40度くらいのお湯を使い、液体洗剤で洗うと溶け残りがなく、すすぎ1回ですみます。ただ、お父さんの白シャツ、子供の体操服など、皮脂や泥汚れなどをしっかり落としたい場合は粉洗剤に軍配が上がります。冷水にもよく溶けると表示のある粉洗剤を選べば心配なく使えます。
なお、洗濯物を洗濯槽にぎゅうぎゅう詰めにすると水流が発生せず、汚れがきちんと落とせません。季節を問わず、最大でも洗濯槽の7割までに抑えるよう心がけましょう。ほかにも、洗剤の量や水の量、洗濯時間についても注意が必要です。洗濯物の量に対して洗剤が少な過ぎたり、必要以上に長く洗濯し過ぎたりすると、再汚染(水中に放出された汚れが再度洗濯物に付着してしまう)が起きやすくなるからです。洗濯機や洗剤に示された使用方法を守って洗濯しましょう。