【東洋医学の知恵をくらしに】春先の不調を整えるセルフケア

「五臓」の一つ、「肝」の不調を解消するツボを刺激する

 春先は多くの人が花粉症に悩むとき。三寒四温や生活環境の変化で、自律神経やホルモンバランス、胃腸の働きなどが乱れることも症状を悪化させる要因のひとつです。他にも頭痛やめまい、メンタルの不調を感じる人も。東洋医学ではこうした症状に対し「五臓」(体の働きを5分類したもの)のうち、春に関係する「肝」のケアが重要だと考えられています。そのセルフケア法を逸見愛先生に解説していただきました。

「厲兌(れいだ) 」「内庭(ないてい)」を押す

①厲兌は足の人さし指外側、爪の生えぎわ角すぐ下に、内庭は足の人さし指と中指の間(付け根)にあります。どちらも鼻孔に通じているツボで、胃腸の水分の代謝や消化吸収をよくして目や鼻などの粘膜を強化し、花粉症の症状を和らげます。鼻血が出やすい方にもおすすめのツボです。

②それぞれ、手の親指でもんだり、爪の先で優しく10回ほど押してください。

「太衝(たいしょう)」「血海(けっかい)」を押す

①太衝は、自律神経の調整やストレス解消に効果的なツボ。めまいや頭痛にも◎。足の親指と人さし指の骨が交差する手前(凹み)にあります。手前に引くように押すと効果的。

②血海は、血の巡りを改善しホルモンバランスを整えるツボ。膝のお皿の上、内側の凹みから指3本分上がったところ、筋肉の横にあります。①②それぞれ手の親指をあて10回ほど押し回します。

【ポイント】

 よくかんで食べ唾液を出すことも大事です。唾液は胃腸の消化吸収を助けて体の栄養状態を高め、ウイルスや花粉から体を守る皮膚や粘膜を強くしてくれます。

【健康メモ】

目や爪にトラブルが出てきたら肝臓機能の低下を疑って

 東洋医学では「肝臓の状態は目と爪に現れる」と考えます。肝臓の働きが悪くなると血液の質や量が低下するため、多くの血液が必要な目や、体の末端にある爪にトラブルが現れやすいからです。疲れ目・かすみ目・充血・ドライアイなどの症状が出たり、爪に横スジが入る・爪が割れやすくなるなどしてきたら、肝臓機能低下のサインかもしれません。睡眠を十分にとり、飲酒を抑え、バランスのよい食事を心がけましょう。

逸見 愛

へんみ・あい

鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師。中野区で主宰する女性限定鍼灸サロンで、「体の内側から健康に美しく」をモットーに美容鍼灸を提供。自宅でできるツボ押しやお灸など、セルフケアの普及に努めている。


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