【東洋医学の知恵をくらしに】股関節の痛みのセルフケア

股関節まわりの筋緊張をほぐすツボを刺激する

 人体で最大の関節である股関節に、たとえ軽くても痛みが長く続いている場合は、検査を受けて原因を解明することが大切です。もしその痛みが未病(病気になる前の段階)なら、進行を遅らせるようセルフケアを行いましょう。適切な運動やストレッチのほか、股関節まわりの血行不良を改善して筋緊張をほぐすツボ押しも有効です。そこで今回は、股関節痛のセルフケア法を逸見愛先生に解説していただきました。

「環跳(かんちょう)」(お尻のツボ/左右1穴)を押す

環跳は股関節まわりの気血の巡りをよくし、老廃物の滞りを改善するツボ。筋肉の緊張を緩め、股関節痛や腰痛、膝痛、五十肩のケアにもおすすめです。

①位置は片膝を立ててしゃがむとできる、股関節の一番深いしわの端。立ってお尻に力を入れると凹むところです。

②親指の腹をあて、心地よい強さで3秒かけてゆっくり押し込み5秒キープ。3秒かけてゆっくり力を抜きます。これを左右の環跳で3~ 5回繰り返します。

③こぶしで押し回してもOK。。

「風市(ふうし) 」(太もものツボ/左右1穴)を押す

 風市は下肢の風ふう邪じゃ(東洋医学で病の原因の一つと考えられているもの)を取り除く効果があるツボ。股関節や膝などの痛み、風邪が原因で起きる下肢の震えや冷え、蕁麻疹など皮膚病のケアにも効果的です。

①風市は直立して手を太ももの真横にあてたときに、中指の先があたるところ。

②座った状態で親指の腹をあて、軽く圧をかけて10 回押し回します。左右同時でも片側ずつでもかまいません。

③テニスボールをあてて押し回すのもおすすめです。

【ポイント】

 ご紹介したツボ押しをストレッチの前後に行うと、けがの予防や、疲労回復を早める効果も期待できます。ぜひストレッチとツボ押しを一緒に、毎日の習慣として行うようにしてください。

【健康メモ】

足を組むと巡りを悪くします下半身ストレッチを習慣にしましょう

 股関節痛の予防には、股関節を支えるお尻や脚の筋肉をしなやかに整えておくことが大切です。巡りをよくする下半身のストレッチを習慣づけましょう。片足に体重をかけて立つ、足を組んで座るといった、股関節に負担がかかる姿勢が癖になっている人はそれを直し、日頃から両足にバランスよく体重をかけるよう心がけてください。また股関節痛がなくても、「足が重だるい・むくみやすい、ふくらはぎがつりやすい、足の皮膚が乾燥して痒い」などの症状を1 つでも感じたら、下半身の血行が悪くなっているサインです。早めのセルフケアで未病を改善しましょう。

逸見 愛

へんみ・あい

鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師。中野区で主宰する女性限定鍼灸サロンで、「体の内側から健康に美しく」をモットーに美容鍼灸を提供。自宅でできるツボ押しやお灸など、セルフケアの普及に努めている。


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