【東洋医学の知恵をくらしに】男女に見られる更年期症状のセルフケア

ホルモンバランスを整えるツボを刺激する

 女性の更年期障害(のぼせ、ほてり、発汗など)はよく知られていますが、近年では男性の更年期障害(疲労感、発汗、性機能低下など)も明らかになり、男女ともにつらい症状に悩む人は少なくありません。東洋医学では、更年期の不調の大きな原因を「腎虚(じんきょ)=発育や性ホルモンに関わる腎じんの衰え」と考えています。その腎の働きを整え、更年期を健やかに過ごすセルフケア法を逸見愛先生に解説していただきました。

「八髎穴(はちりょうけつ)」(お尻のツボ/仙骨に8穴)を押す

①仙骨(骨盤中央にある逆三角の形をした手のひら程の大きさの骨)の8 カ所の凹み上にある八.穴は、骨盤内の血流をよくし、ホットフラッシュ、めまい、頭痛、泌尿器の悩みなど、更年期症状のケアに効果的なツボ。

②中指を中心に3本の指を一番下のツボにあて、指先に圧をかけた状態で3回ほど手を上下に動かします。順番に上のツボへ移動し、5回ほど繰り返します。

③仰向けに寝て仙骨の下にテニスボールを置き、ツボを押す方法でもOK。

「気海(きかい)」(おなかのツボ/ 1穴)を押す

 気海は腎の働きを補い、活力を高めるツボ。全身の巡りをよくして体を温め、婦人科疾患全般、倦怠感、息切れ、消化器系の不調、メンタルケアに効果的です。

①体の中心線上で、おへそから指幅2本分下に位置します。

②中指を中心に3本の指をツボにあて、反対の指も重ね、息を吸いながら3秒かけてゆっくり押していきます。3秒キープし、ゆっくり息を吐きながら3秒かけて圧をぬいていきます。これを5回繰り返します。

③お灸もおすすめです。

【ポイント】

 八髎穴の8つの凹みがわからないときは、尾骨(お尻の割れ目の一番上に近いあたりで尖っている骨)を見つけて、尾骨から腰まで指先でさすり上げてもOK。仙骨上をカイロで温めるのも効果的です。

【健康メモ】

腎の働きを高めるには食べ物や冷え対策などを工夫して

 腎の働きが衰えることで引き起こされる症状は、いわゆる“ 老化現象” です。ですから逆にいえば、腎の働きを補うことで加齢に伴う症状を改善したり、老化自体を遅らせたりすることも可能となります。特に強い悲しみやショックな出来事があったときは、腎の機能が低下しやすいので念入りなセルフケアをおすすめします。

 黒ゴマ、黒豆、干し椎茸、海藻類など黒色の食材や、ラム肉、エビ、クルミ、シナモンなど、腎を癒やしたり体を温めてくれる食材を食べたり、手足や首などを冷やさないよう気をつけたりすると、腎の働きの向上に役立ちます。

逸見 愛

へんみ・あい

鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師。中野区で主宰する女性限定鍼灸サロンで、「体の内側から健康に美しく」をモットーに美容鍼灸を提供。自宅でできるツボ押しやお灸など、セルフケアの普及に努めている。


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