【東洋医学の知恵をくらしに】健康な髪のためのセルフケア

「血」の生成を整えるツボを刺激する

 美しい髪のため、シャンプーなどに気を遣っている人は多いかもしれませんが、東洋医学では「髪は血余(けつよ) 」といわれます。「髪は全身に血けつを送った後の余りもの」という意味で、美しい髪のためには、血の生成に関わっている「腎」や血を蓄える「肝」、消化吸収に関係する「脾胃(ひい)」の働きを高めることが大切です。そこで今回は、体の内側から美しい髪を育てるセルフケア法を逸見愛先生に解説していただきました。

「腎兪(じんゆ) 」(腰のツボ/左右1穴)を押す

腎兪は腎機能を高めるツボ。東洋医学では「髪は腎の華」ともいわれ、髪の健康は腎の元気が反映されます。

① 一番下の肋骨の先端の高さのラインと背骨が交差するところから、左右に指幅2本分外にあります。

② 左右のツボに手の親指をあて、息を吸いながら3秒かけてゆっくり押し、5秒キープ。息を吐きながら3秒かけてゆっくり圧を抜きます。これを3~5回繰り返します。

③ あおむけに寝てテニスボールを置き、ツボを押す方法でもOK。

「関元(かんげん)」(おなかのツボ/ 1穴)を押す

 関元は血の生成に関わる腎、肝、脾胃の働きを強化するツボで、髪の成長・発育を促す効果があり、全身の老化予防にも〇。

①体の中心線上でおへそから指幅4本分下、いわゆる「丹田」といわれるところにあります。

②中指を中心に3本の指をツボにあて、反対の指も重ね、息を吸いながら3秒かけてゆっくり押していきます。3秒キープし、ゆっくり息を吐きながら3秒かけて圧をぬいていきます。これを3~5回繰り返します。

③お灸もおすすめです。

【ポイント】

 髪のケアには頭皮マッサージもおすすめです。頭皮には全身の器官や内臓を整えるツボがあり、筋肉のコリをほぐすほか、自律神経の調整やストレスの緩和など、全身を癒やす効果も期待できます。

【健康メモ】

「血余」でない「血虚」になると髪以外にもいろいろな不調が

 血が不足して栄養が全身に行き渡らない状態を「血けっ虚きょ」といいます。血虚は髪のトラブルのほかにも肌荒れやドライアイ、めまい、不眠、冷えなど、さまざまな不調を招きます。特に脳は血をたくさん消費するので、悩み事が続いていたり、PCやスマートフォンでの作業時間が長い方は要注意です。

 血の巡りをよくし、血管をしなやかにする効果が期待できるレッドフード(スイカ、トマト、ニンジン、小豆など)や、6 月号でご紹介したブラックフードを食事に取り入れましょう。そして夜更かしをせずに十分睡眠をとり、ストレスをため込まないことが大切です。

逸見 愛

へんみ・あい

鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師。中野区で主宰する女性限定鍼灸サロンで、「体の内側から健康に美しく」をモットーに美容鍼灸を提供。自宅でできるツボ押しやお灸など、セルフケアの普及に努めている。


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