【東洋医学の知恵をくらしに】夏バテを予防するセルフケア

疲労回復効果のあるツボを刺激する

 冷房が効いた部屋で過ごし、冷たい食べ物・飲み物ばかり取っていると、体が冷えて血行が悪くなり栄養も偏りがちに。また外気温との落差に自律神経の働きが乱れ、夏バテを招きやすくなります。十分な睡眠、バランスのよい食事、冷えをとるための適度な運動や入浴を心がけましょう。そしてなんとなくだるいときに有効なのが、ツボ押しによるセルフケア法です。今回も逸見愛先生に解説していただきました。

「照海(しょうかい)」「復溜(ふくりゅう)」(足のツボ/左右1穴)を押す

①照海、復溜は副腎を強化し、自律神経の乱れやホルモンバランスを整えて疲労回復を促すツボ。

②照海は内くるぶしの親指幅1本分下。復溜は内くるぶしの一番高いところに薬指をあて、指幅3 本分上(アキレス腱の前)にあります。

③照海と復溜のどちらか皮膚が凹んでいる方、または乾燥している方のツボを選んで(両方でも可)親指をあて、3秒かけてゆっくり押し、5 秒キープ、3 秒かけてゆっくり戻します。これを両足で3~ 5回ずつ行います。

「兪府(ゆふ)」(鎖骨下のツボ/左右1穴)を押す

①兪府は免疫力を高め、食欲不振や体の冷えの改善に効果的なツボ。ホルモンバランスの乱れを整える効果もあり、照海・復溜とセットで治療することで疲労回復力が高まります。

②胸骨(鎖骨中央のくぼみの下にある骨)の中心から指幅3本分外、鎖骨の下でくぼんでいるところにあります。

③右兪府に左手の人さし指と中指、左兪府に右手の人さし指と中指をあて、皮膚を動かすように円状に優しく10 回ほど 押し回します。

【ポイント】

 胃腸が弱っているときは、2021 年12 月号で紹介した「足三里」(膝のお皿から指幅4本分下、脛の骨の外側)のツボにお灸をするのがおすすめです。胃腸機能を整え、むくみやだるさにも効果的です。

【健康メモ】

汗は出なくても出すぎても問題です。水分や熱の代謝を心がけましょう。

 夏は体温調節を司る自律神経系が乱れやすいとき。また冷房が効いた室内に長時間いると汗をかきづらくなるため、体に余計な水分や熱がこもり、これらが胃腸や循環器に負担をかけて、だるさを招く原因となります。日常的に適度な運動や入浴で汗をかいたり、体の熱を冷まし水分代謝を促してくれる夏野菜(スイカ、トマト、キュウリ、ゴーヤなど)を食べたりして解消しましょう。

 一方で汗のかきすぎも、体力を消耗するうえ脱水症状も心配です。汗の出すぎを抑える作用のある梅干し、酢、ハイビスカスティーなど酸味のあるものを取ることがおすすめです。

逸見 愛

へんみ・あい

鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師。中野区で主宰する女性限定鍼灸サロンで、「体の内側から健康に美しく」をモットーに美容鍼灸を提供。自宅でできるツボ押しやお灸など、セルフケアの普及に努めている。


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