おいしい日常食の循環で災害に備えませんか?

 「好みの味ではないけれど定期的に非常用食品を買っている」「備蓄しても期限切れで無駄にするのが憂鬱」という方、ちょっと考え方を変えてみませんか? 家族の好みに合った缶詰やレトルト食品を選び、日々消費する日常食と備蓄を兼ねる〝ローリングストック(循環備蓄)”なら、満足感も栄養補給も得られ、上手に回せば消味期限切れの心配もありません。

ローリングストックとは?

 いつどこで発生するかもしれない災害。万一被災すればライフライン復旧に1週間以上かかったり、支援物資がすぐに届かないなどの可能性を想定しておく必要があります。そのため、各家庭では最低3日~1週間×人数分の食品備蓄が望ましいとされています。

 とはいえ水や主食(米やカップ麺など)、主菜(缶詰、レトルト食品など)、副菜(長期間保存できる野菜や調味料、乾物、即席スープなど)を備蓄するには、収納場所の確保だけでも大変です。そこで取り入れたいのがローリングストックという考え方。普段食べている食品を多めに買い、古いものから日常食べ、食べた分をこまめに買い足すことで、常に一定量の食品が備蓄されている状態を保つ方法です。これなら「備蓄食品を久しぶりに確認したら賞味期限が切れていた」といううっかりも防止することができます。

缶詰&レトルトを活用

 ローリングストックを始めるにはまず、普段家族が食べているもの(すでに家にあるもの)を確認します。次に栄養バランスや家族の好みを考えながら種類・量を決め、不足しているものを買い足します。災害時はおにぎりやパンなど炭水化物メインの食事に偏りやすく、栄養バランスの乱れから体調を崩す可能性も考えられます。タンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維などの補給を意識したローリングストックを目指しましょう。

 タンパク質を手軽にとるには、缶詰やレトルト食品の活用がおすすめです。缶詰やレトルト食品は加圧加熱殺菌されているため、常温で長期間保存ができます。また多くは調理済みなので、開封してそのままおいしく食べられます。味や栄養にこだわったものがたくさん売られているので、食べ比べながら選ぶとよいでしょう。ほかにも、多くのレトルト食品は1食分の内容量で作られているので、人数に合わせた必要量を準備しやすい点も挙げられます。カセットコンロとガスボンベを備えておけば、災害時も加熱調理ができ、食の選択肢が広がります。

循環しやすい収納法

 よく食べる食品はキッチンに、たまに食べる食品はパントリーなどに収納しましょう。取り出しやすいカゴなどに分け入れ、何が入っているのか一見してわかるようにしておくことが循環しやすさの秘訣です。手前の(賞味期限の近い)ものから使い、使った分を買い足してカゴの奥に補充します。家族が多く備蓄品も多い場合は、押し入れなどにも収納場所を用意し、キッチンやパントリーの在庫がなくなったら押し入れから補充、買い足したものは押し入れに収納というサイクルを繰り返しましょう。