尿の通り道に生じる「尿路結石」

「お産の次に痛い」といわれるほどの痛み

 痛みを伴う病気はいろいろありますが、すい炎、胆石、尿管結石の痛みは「三大激痛」といわれています。中でも尿管結石は、突然の激痛で慌てて救急車を呼ぶことも少なくありません。尿管結石を含む尿路結石の予防と治療法について説明します。

尿路結石の原因と対策

 尿路結石はその名の通り尿路に生じる結石で、腎臓内で尿中の成分が結晶化し、成長して作られます。この腎結石が尿流とともに落ちていき、存在する位置によって尿管結石、膀胱結石、尿道結石と呼ばれます。

 腎結石はほとんど痛みがありませんが、尿管へ移動すると突然激しい痛みを発します。理由は結石が尿管に詰まり、腎じん盂う(腎臓と尿管の接続部分)内の圧力が高まって尿管がけいれんを起こし、神経を刺激して腎臓部の痛みを発するためです。結石が膀胱近くに移動すると、排尿後に残尿感を感じたり、尿意を感じてトイレに行ってもなかなか出なかったり、不快な症状が重なります。また、結石が尿管を傷つけて血尿が出ることもあります。

 かつては中年男性に多くみられましたが、最近は若年化が進み、女性にも患者が増えています。その原因として、肉類など動物性タンパク質の摂取量の増加があげられます。肉類を食べるとシュウ酸や尿酸などの物質が体内に増えます。シュウ酸にはカルシウムと結合しやすい性質があり、腸の中でカルシウムと結びつくと便とともに体外に排泄されますが、シュウ酸が多すぎると余った分が尿の中へ出ていき、尿中のカルシウムと結合することで結石となってしまいます。

 結石を予防するには動物性タンパク質の摂取量を抑え、野菜類やカルシウムの多い食事にします。カルシウムは牛乳などの乳製品や小魚、大豆などの豆類や緑黄色野菜にも豊富に含まれています。ただし、野菜の中でホウレン草にはシュウ酸が多く含まれているので、食べ過ぎに注意してください。

 また、水分不足になると尿の濃度が上がって結晶化しやすくなるので、水分を多めに取ることも大切です。尿の量が増え、小さい結石なら排泄しやすくなるという点でもおすすめです。なお、紅茶やコーヒーにはシュウ酸が含まれますが、牛乳を入れて飲むと吸収を抑えられます。飲水とともに習慣的に運動をすることも排石には大事です。

尿路結石を治療するには

 5ミリ以下の結石は自然排石を期待し、薬物治療(鎮痛剤など)、飲水、運動で経過観察を行います。なかなか排石しない場合や、結石が大きい場合は手術を行います。結石の位置と大きさで治療方法が変わりますが、体の外から衝撃波を当てて結石を砕く【ESWL】(体外衝撃波結石破砕術)や、尿道から尿管内へ内視鏡を挿入してレーザーで結石を砕く【TUL】(経尿道的尿路結石除去術)などがあります。

監修
宮野 佐哲

みやの・さてつ

医療法人社団永生会 南多摩病院
泌尿器科 部長

https://www.eisei.or.jp/minamitama/

1997年聖マリアンナ医科大学医学部卒業。医学博士。聖マリアンナ医科大学を経て2013年より現職。日本泌尿器科学会専門医、指導医。泌尿器腹腔鏡技術認定医。